ナローボディのハイエースをいろいろ工夫して、家族4人で車中泊やバンライフを楽しんでいます。
今日は車中泊DIYの中でも特に電気関係の作業をする上で必要な電気の知識について、少し書いてみたいと思います。
車のヘッドライトやナビなどの電装関係にしても、車中泊に必要な家電製品の利用にしても、DIYの中で電気は必ず乗り越えなければならない課題の一つです。
コンセントに挿せばすぐに電気が使えるという家ではごく当たり前のようなことが、車中泊においてはとてもハードルが高い課題なのです。
うちのハイエースは、現在100wソーラーパネル2枚と、スアオキG500(500Whのポータブル電源)を2台積んで、電気関係をまかなっています。
素人が気安くサブバッテリーシステムに手を出すべきではないという私なりの結論に至るまでかなり試行錯誤を重ねました。
やはり電気は一筋縄ではいかないというのが正直なところです。
今回はまず手始めに、車中泊の電気を考えるための基礎知識から始めてみましょう。
車から電気を取るという考えについて
車にはバッテリーが積んであり、走行中は常にバッテリーに充電されているわけだから、そこから電気を取ればいいんじゃないか?
と、これは誰もが考えることだと思います。しかし、最初に結論から言うと、車のバッテリーから電気を取るという考えはやめておいた方がいいです。
初めはよくてもいつか必ず破綻します。
長距離トラックのドライバーが24ボルトバッテリーからインバーターで交流に変換して家電製品を使うのは、長距離トラックはほとんど24時間エンジンをかけたままだということと、圧倒的なバッテリー容量の違いによるところが大きいと思います。普通乗用車が真似をしたらある時突然バッテリー上がりで立ち往生してしまうでしょう。
このことを考える上で重要なのが車載バッテリーとオルタネータとの関係です。
オルタネータというのは、昔の自転車ライトに使われていたダイナモのような、つまり自転車をこぐことで発電される小さな発電機みたいなものです。
※ダイナモとオルタネータは構造が全く違うので、これはあくまで例えと思ってください。
バッテリーからは電気が出ていき、オルタネータからはバッテリーに電気が蓄えられます。
もし仮に、バッテリーが電気を50使って、オルタネータが電気を50作り出せば、プラスマイナスゼロで電気は減りません。バッテリーが減ったらオルタネータが電気を蓄える、そのように働いてくれるとありがたいのですが、実際のオルタネータはそういう働き方はしないのですね。ここにカラクリがあります。
オルタネータというのは、バッテリーの電力消費や電圧低下を感じて動き出す訳ではなくて、オルタネータにつながれた電装品の電気負荷を感じ取って、電装品からの負荷がかかるとオルタネータが動き出すという仕組みになっています。
試しにボンネットを開けて、オルタネータを探してみてください。直径10センチくらいの円盤状のオルタネータに何本もの電線が束になって繋がっているのがわかると思います。
これらの線は、ヘッドライトバルブやオーディオやナビなど、電気負荷の大きな電装品からの電線たちです。決してバッテリーからオルタネータにシグナルがいくわけではないんですね。
一方、私たちが車内で使う電気は、通常シガーソケットから取るか、あるいはヒューズボックスからACC回路を探して、そこから電源を取りますが、いずれにしてもこれらの電源はオルタネータを介さずバッテリーに繋がっているだけなので、ここからいくら電気を使ってもオルタネータは「電気が使われている」とは感じないので、バッテリーに充電しようとはしません。
うちでも一時、車載バッテリーから走行中だけ冷蔵庫の電源を取ろうと試行錯誤していた時があったのですが、明らかにセルの回りがトロくなったり、パワーウインドウの下がり方が遅くなったりと、バッテリーが弱っているのを感じたのでやめました。AC-DCコンバータもしょっちゅう電圧低下エラーを起こしていたので、やはり走行中のバッテリーからの電気利用は無理があると痛感しました。
ここでもし仮に、車載冷蔵庫などの家電製品の配線を「オルタネータから取るように」繋げば、オルタネータは冷蔵庫の起動電流を感じ取って発電を開始するでしょう。
あくまで、冷蔵庫からの配線をオルタネータに繋げることができたとすればの話しです。車内からボンネットの中へ配線を取り回し、オルタネータに繋ぐことができれば、そして、ここに特別な回路を設け、エンジンが動いている間だけ冷蔵庫に電気がながれ、エンジン停止時は電気が流れないように制御することができれば。そうしなければ、オルタネータ経由でバッテリー直結すると、エンジン停止時もバッテリーから冷蔵庫に電気が流れてしまい、あっという間にバッテリー上がりを起こしてしまいます。
つまり、エンジン作動中とエンジン停止時で電気の流れを変え、エンジン停止中は別の電源から電気が流れるような仕組みを作らなければいけないのです。
そんな仕組みは素人の私にはとてもできません。
やはり、車のバッテリーから電気を取るという考え方は、手軽な車中泊DIY向けではないということが分かります。
逆に言えば、そこを解決してオルタネータの動きをきちんと理解して回路を作れる知識があれば、サブバッテリーシステムの導入はたやすくできるでしょう。
バッテリーの余力はどれくらい?
このように、車に積んでいるバッテリーはあくまでセルモーターを回すために大きな瞬発力を温存しておくのが役割で、走行中に電気的な負荷がかかった時にオルタネータが負荷を感じ取って発電するという棲み分けになっているようです。
ただ、このように基本的な棲み分けはされていても、やはりバッテリーが蓄えた電気を一時的に使う状況は生じます。標準装備されている車載品をまかなうくらいの電力はそれで十分足りるのですが、プラスアルファいろいろな電装品を使っていると、バッテリーからはきだす電気が多くなり、オルタネータからの充電だけでは追いつかなくなってきます。
この状態が日常的に続いていくと、やがてバッテリー上がりということになってしまうわけです。特に夏場はエアコンも使いますし、雨降りでワイパーも酷使しますからバッテリーに負担がかかりやすく、そのツケが冬にやってくるパターンが多いわけです。
ちなみにハイエースの場合、標準バッテリーは80Dという容量のものが使われています。
これはあくまで最低限の能力を想定した容量なので、ナビを使い、オーディオを鳴らし、エアコンを使い、夜間照明、フォグランプ、雨の時はワイパーを動かして。。。となると、とても80Dでは足りなくなってきます。うちは一つ上の95Dを載せていますが、それでも能力不足を感じますから、次のバッテリー交換時はできれば105Dくらいを選ぼうと思っています。
この容量の差というのは、オルタネータではまかないきれない電力がバッテリーから一時的に使われる時の余力ということになります。この余力が大きいほど、バッテリーが一時的に減っても余力があるのでバッテリー上がりに至らずに済み、そして走行中の余裕ある時にオルタネータが充電してバッテリーを回復させてくれます。
ただし、そもそも車に積んでいるバッテリーというのは、あくまでエンジンのセルを回すための大電力を瞬間的に起こすためのもので、瞬発力には優れていますが、持続的に電気を使い、また充電するという使い方はあまり得意ではありません。そういう意味でも、車載バッテリーを日常的に車載品の電力として利用する使い方はバッテリーの負担につながりますので、なるべく避けたほうが良いと思います。
そういった役割が得意なのは、ディープサイクルバッテリーの方です。キャンピングカーなどに使われているサブバッテリーシステムには、このディープサイクルバッテリーをメインに、充電システムや電圧計などが組み合わさって作られています。
次回も引き続き車中泊の電気について、車載バッテリーとサブバッテリーの違いについて考えてみたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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