ハイエース4人家族で車中泊〜ナローボディでも快適なバンライフを〜

ビルダーのカスタムはとても素敵だけれど、紹介写真には荷物が載っていない。実際の車中泊は荷物との闘い。狭苦しい車内をいかに効率的に収納を工夫するか、4人家族でも楽しく快適なバンライフが送れるブログをお届けしています。

車中泊 車載冷蔵庫と車のバッテリーへの負担





ナローボディのハイエースをいろいろ工夫して、家族4人で車中泊やバンライフを楽しんでいます。

本日は、最近普及が進みつつある車載冷蔵庫について、車中泊での導入を考えておられる方に向けた実践的なアドバイスを少し書いてみたいと思います


車載冷蔵庫はかなり導入価値あり

車中泊用に車載冷蔵庫を考えておられる方、それはとても正しい選択肢だと思います。

冷蔵庫の存在は車中泊やバンライフをとても大きく変えてくれるだけでなく、普段の生活においてもかなり便利に活躍してくれます。


クーラーボックスだと、常に氷の確保を心配しなければなりませんし、溶けた氷でボックス内がびしょ濡れになってしまいます。また、保冷剤や氷の量の分だけ入れられる食品のスペースが少なくなりますが、車載冷蔵庫はそうした問題を全てクリアしてくれます。
普段の買い物においても、車載冷蔵庫があれば、冷凍食品やアイスクリームなどを買った後も気兼ねなく用事や外出を続けられます。

そして、お父さんにとって何より一番嬉しいのは、車中泊の停泊先でキンキンに冷えたビールを飲めることです。
クーラーボックスでいくら強力な保冷剤や氷を入れたとしても、缶ビールを氷温まで冷やすことはできませんが、車載冷蔵庫なら温度設定をマイナス3度くらいに設定すれば、まさに氷温。シャーベット寸前のキンキン状態に冷やすことができます。

そのうまさといったらもう!
そのためだけでも、十分車載冷蔵庫を導入する価値はあるというものです(笑)

車載冷蔵庫の電源確保

さて、大変魅力的な車載冷蔵庫ですが、amazonや楽天でポチッとする前に、今一度よく考えておくべきことがあります。
それは車載冷蔵庫の電源確保、特に車のバッテリーへの負担についてです。

あえて最初に結論を言うと、
「車載冷蔵庫をシガー電源だけで維持するのは無理」
です。特に、車中泊での持続的な使用を考えておられるなら、ポータブル電源かサブバッテリーの導入が不可欠です。
今まで、車載冷蔵庫ではさんざん失敗してきた私がいうのですから間違いありません(笑)

もし3泊以上の連泊を想定するなら、ポータブル電源だけでは充電が持ちませんから、さらにソーラーパネルを導入するか、旅の途中でRVパーク等に停泊してポータブル電源を充電してやる必要があります。


「車載冷蔵庫はクーラーボックスと同じように保冷能力があるんだから、走行中はシガーソケット電源で冷蔵庫を十分冷やしておけば、停車後は電源なしでもクーラーボックス的に使えるんじゃないか?」

と、はじめ私もそう考えていたのです。
が、それは甘い考えでした。

たしかに、車載冷蔵庫はかなり保冷能力があります。例えば気温30℃で冷蔵庫内に食品を満たして0℃まで冷やした状態で電源を切ったあと、庫内が5℃まで上昇するのに約4〜5時間は保ちます。そういう意味では、車載冷蔵庫をクーラーボックス的に使うという発想は確かにアリなんですが、問題なのは「走行中のシガーソケットから電源を取る」という部分です。

冷蔵庫の消費電力をナメてはいけません。


車載冷蔵庫に必要な電力の確保

ここで、車載冷蔵庫の維持に必要な「電力」と「電圧」について少し考えてみましょう。

うちが使っている車載冷蔵庫は、こちらの商品です。カタログによると「定格電力は35W」と表示されています。
ところが、実際にポータブル電源につないで起動させてみると、初めのうち消費電力は80~65Wくらいの間で表示されます。そして、冷却が進み庫内温度が一定まで下がってくると消費電力も安定してきて、その後は、庫内温度が上昇してくるとコンプレッサーが動き出し、庫内温度が下がるとコンプレッサーが止まり。。。と、起動と停止を繰り返すようになります。この、起動が安定してきた状態での消費電力が35W程度ということなのです。


冷蔵庫に使われているコンプレッサーというのは、冷媒ガスを庫内に巡らせるため、起動時に「突入電流」という定格電力の何倍もの電力が必要になります。
電源を入れ、庫内温度が安定するまでの間はこのコンプレッサーの突入電流でかなりの電力を必要としますから、車で冷蔵庫を使うには、この突入電流の大きさに耐えられる電圧と電力が必要ということになります。



私は最初これを知らず、何度も失敗を繰り返しました。
はじめ、車のシガーソケットから直流で電源をとったところバッテリーの電圧不足でエラーが出ました。
次に100Wのコンバーターを買ってつないでみたところ、冷蔵庫の電源を入れたとたんコンバーターが過電流保護でエラーが出て使えませんでした。
そこで次はコンバーターを500Wクラスの大きなものに変えてみましたが、今度はコンバーターがバッテリーの低電圧を感知して、やはり使えませんでした。

これまでコンバーターを何台買い換えたか分かりません。結局、今となってはコンバーターは一切使っていないので、かなりムダ遣いをしてしまったことになります。


このあたりが、素人にはなかなか分かりづらい部分なのです。つまり、消費電力、電流、電圧との関係というんでしょうか。車で電化製品を使う場合の電流や電圧というものについて、多少は知っているつもりでいたのですが、これがなかなか厄介なのです。

いくら大きなインバーターを買ったとしも、そもそもバッテリーから取り出せる電力はしれているので、大きな電流を一気に使うとバッテリーはすぐに消耗して電圧が下がってしまうのです。そこへ持ってきて、バッテリーからコンバーターを介して交流電源を取り出す場合、直流から交流への変換時にロスが生じるため、理論上の電力より2割くらい目減りしてしまいます。たとえば12Vのバッテリーから10アンペア取り出したとすると理論上は120Wですが、コンバーターの変換ロスを考えると、実際に取り出せる電力は100Wくらいが限界ということなのです。
車載冷蔵庫の開始直後は起動電力が交流換算で80~100W必要で、それに対応するための正味の電力としては120W必要ということになり、どうしてもバッテリーに無理が生じるのです。


バッテリーの電圧低下の問題

車のバッテリーは、実は常時12ボルトなのではなくて、一定の範囲内で電圧が変動しています。
正常なバッテリーの電圧はおよそ12.5V~14Vくらいで変動していて、一般的な目安としては、エンジン停止時の電圧が12.5V以上、あるいはエンジン作動中の電圧が13V以上あれば、そのバッテリーは正常といえます。逆にエンジン停止時で12.5V以下、エンジン作動中で13Vを下回るような場合には、バッテリーが劣化している可能性があります。


エンジン作動中は、オルタネータという発電装置が働くことでバッテリーへ充電されますが、最近のオルタネータはバッテリーの電圧が下がったことを感知して作動するのではなく、オルタネータに繋がっている機器の電気負荷に連動して動きはじめるため、車載冷蔵庫の電源ケーブルを直接オルタネータにつながない限り、冷蔵庫が電気を消費してもオルタネータはバッテリーの電圧低下に気づかず、バッテリーの電圧はどんどん下がっていくのです。


車載冷蔵庫には、最低稼働電圧を切り替える保護スイッチが付いていて、バッテリーの電圧低下を早めに察知して冷蔵庫の電源が切れるようになっているのですが、電圧感知スイッチを「低」に設定すると、バッテリーの電圧が下がってもギリギリまで冷蔵庫は動くかわりに、バッテリーにかなり負担をかけることになります。


ここで、先ほどの私の失敗談をもう一度振り返ってみましょう。

1.車のシガーソケットから直流で電源をとったところバッテリーの電圧不足でエラーが出た。

シガーソケットから取り出せる電流は12V10アンペア程です。冷蔵庫起動からしばらくは使えるのですがオルタネータが働かないため電圧は13Vからどんどん低下していき、やがて12Vを切ってしまい、冷蔵庫に必要な起動電流が確保できなくなって電圧低下エラーが表示された、というのが原因です。

2.次に100Wのコンバーターを買ってつないでみたところ、冷蔵庫の電源を入れたとたんコンバーターが過電流保護でエラーが出た。

これについては、100Wのコンバーターを介して冷蔵庫をつないだところ、冷蔵庫側は自分自身を起動させるためにコンバーターに対して起動電力を一気に要求したわけです。ところがコンバーター側はそれに応えられるだけのキャパがなかったために、バッテリーから一気に過大な電流が流れようとした時点で、コンバーターがキャパをオーバーしてエラーが出てしまったというわけです。

3.そこで次はコンバーターを500Wクラスの大きなものに変えてみたところ、今度はコンバーターがバッテリーの低電圧を感知して、やはり使えなかった。

コンバーターを大きなものに変えたことでコンバーターのキャパはクリアできたのですが、今度は冷蔵庫側が求める起動電力の要求に対して、バッテリー側から一気に電力が流れ、しばらくの間(3~4分)は冷蔵庫が動くものの、やがてバッテリーが電圧低下を起こし、その電圧低下をコンバーターが感知して低電圧エラーを表示して止まってしまった、という流れです。


このように考えていくと、結局、どの方法をとったとしても、車のバッテリーを電源にしている限り、オルタネータが充電をしなければバッテリーはすぐに電圧低下を起こしてしまい、冷蔵庫は使えないのです。
どうしてもこの方法でやるというなら、オルタネータに冷蔵庫のケーブルを直結させて、オルタネータに冷蔵庫の存在を教えてやる以外に方法はありません。


車載冷蔵庫の導入を考えておられる方々に初めから水を差すようで大変申し訳ないのですが、車中泊での持続的な使用をお考えなら、「車載冷蔵庫+ポータブル電源」をセットで購入する方が無難です。
ポータブル電源は、最低でも500Wクラス以上、できれば1000Wか1500Wクラスを選んでおけば、長期の車中泊にもゆとりをもって対応できます。
車載冷蔵庫が実売2.5万円くらい、500Wクラスのポータブル電源は実売4~5万円くらいですから、初期投資は6~7万円というところでしょうか?


経験上、500Wクラスのポータブル電源で1泊2日までなら充電なしでも何とか可能です。出発当日は冷えた食品や飲料を満たし、念のため保冷剤を入れておけば、1日目の日中はほとんど電源を消費せず、出発日の夕方くらいからようやくポータブル電源から電気を使い始める感じです。そこから翌朝にかけて、温度設定をやや高め(4~5℃くらい)にしておくと、コンプレッサーの作動回数が控えめになり、翌日まで何とか電源をもたせることができます。

翌日の日中もポータブル電源は徐々に減っていきますが、シガーソケットからの走行充電を、冷蔵庫ではなくポータブル電源に充電してやることで、少しずつではありますが、ポータブル電源が充電され、夕方帰宅するまで冷蔵庫は何とか保ちます。もし心配なら、途中のスーパーなどで保冷用の氷を少し補充してやれば大丈夫です。


うちの場合、冷蔵庫とポータブル電源を導入して1年目はこのパターンで乗り切っていました。
ただ、これだと2泊以上の車中泊になると電源がもたないのと、常に電源の残量を気にしなくてはいけないのが結構面倒です。また、そうやってだましだまし運用しているうちにもバッテリー自体が徐々に劣化していき、ついにバッテリーを交換せざるを得なくなってしまいました。
そこで、冷蔵庫導入2年目にソーラーパネルを導入し、さらに3年目にポータブル電源とソーラーパネルを2つずつに増やしました。
その後、500Wのポータブル電源2台から1000Wのポータブル電源1台にまとめ、現在は1000Wの電源と500W電源を1台ずつ、そして100Wのソーラーパネルを2枚という形に落ち着いています。


思えば、車内で安定的に電気が使えるために、ずいぶんと回り道をしたものです。
冷蔵庫の導入を考えなければ、そこまでの電源は必要ないかもしれませんが、これまでの数々の失敗や回り道を振り返ってみても、車載冷蔵庫を導入したこと自体は十分価値があると思います。


これから車載冷蔵庫の導入を考えておられる方が、少しでも回り道を避け、最小限のコスト投入で快適な車中泊ライフが手に入ることを願っています。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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