ナローボディのハイエースをいろいろ工夫して、家族4人で車中泊やバンライフを楽しんでいます。
本日は、車中泊の車内でコンロを使う場合に、二酸化炭素や一酸化炭素の濃度がどのように変化していくか?ということについて少し考えてみたいと思います。
二酸化炭素と一酸化炭素の違いをおさらい
ご存知の方にとっては今さらですが、まず簡単に二酸化炭素と一酸化炭素の違いをおさえておきましょう。
二酸化炭素はそもそも大気中に存在する成分なので、それ自体が有害というわけではありません。CO2と言われるように、炭素1個に酸素が2個くっついて、安定した分子として存在しています。
自然の大気中に400ppm程度の二酸化炭素が存在していて、人が呼吸したり、物を燃やしたりすると二酸化炭素の濃度が上昇していきます。
さて、二酸化炭素と一酸化炭素の違いですが、酸素が十分にある状態で物が燃えると完全燃焼して二酸化炭素が発生します。これに対して、酸素が少ない状態で物が燃えると不完全燃焼を起こして一酸化炭素が発生します。
一酸化炭素というのは分子記号でいうと「CO」となりますが、これは、炭素原子1個に対して酸素が1個だけ結合した状態となり、炭素からすれば片方の手が空いていてとても不安定な状態です。
炭素原子は手を2つ持っているので、両方の手がふさがると安定した分子になれますが、酸素が足りない状態で物が燃えると片手だけ酸素がくっついて、もう片方の手は手ぶらとなり、分子としては不安定な状態になります。
そこで手をつなぐ相手を必死に探そうとして、人間の血液中にあるヘモグロビンと手をつないでしまうのです。なぜヘモグロビンと結びつくのかというと、酸素よりもヘモグロビンの方がものすごく親和性が高い(酸素より200倍もくっつきやすい)からだそうです。
一酸化炭素濃度による有害な症状
時間 | 症状 | |
---|---|---|
400ppm | 1〜2時間 | 頭痛 吐き気 |
800ppm |
45分 2時間 |
頭痛 吐き気 めまい 失神 |
1600ppm |
20分 2時間 |
頭痛 吐き気 めまい 死亡 |
3200ppm |
5〜10分 30分 |
頭痛 吐き気 めまい 死亡 |
6400ppm |
1〜2分 15分 |
頭痛 吐き気 めまい 死亡 |
12800ppm | 1〜3分 | 死亡 |
高濃度の一酸化炭素が発生すると、ほんの一瞬で眠るように意識を失い、30分ほどで死んでしまいます。車中泊中に一酸化炭素が発生していることに気づかず、そのまま眠るようにして死んでしまうのが一番危険です。
車中泊車内のCO・CO2濃度変化
わが家では、車中泊の車内ではなるべく火を使わないようにして、お湯を沸かす時はポータブル電源で電気ケトルを使うようにしていますが、以前は車内でコンロを使って料理していたことがあります。(今でも、ミニかまどでご飯を炊くときだけは換気しながら小さな固形燃料を使いますが)
今回、実験のために、車内でカセットコンロで火をたいた状態で、CO2やCOの濃度変化について調べてみました。換気なしの状態と、窓を開けた状態、そしてミニ扇風機を回しながら火を焚き、CO2やCOがどのように変化していくかを時間を追って調べてみた結果をまとめてみたいと思います。
便宜上、カセットコンロで鍋に500ccの水を入れて中火にかけ、点火からの時間を追って空気中の濃度変化を見ていきます。
換気なしの状態
点火前の状態です。二酸化炭素は400ppmを示しています。
自然界の大気中の濃度ですね。
一酸化炭素の方は0です。
ガスコンロに点火しました。
点火開始10秒で二酸化炭素が430ppmになりました。
開始30秒。
たったで二酸化炭素濃度は約2倍に上昇しました。
開始1分で二酸化炭素濃度が1000ppmを越えています。
まだ体感的にはあまり変化は感じませんが、コンロから立ち上がる熱がふわっと車内の上の方に生暖かい空気を運んでくる感じがします。
開始1分30秒。
二酸化炭素濃度は通常の4倍の1670ppm。
少し息苦しい感じというか、胸が圧迫されているような、少し息が吸いにくい感じがしてきました。
開始2分経過。
濃度計は1855ppmを示しています。これまでの上がり方と比べると少し上昇カーブが緩やかになってきた感じがします。
つまり、30秒ごとにうなぎ上りに濃度が上がっていったのと比べると、2分経過以後はあまり濃度変化が大きくカーブしなくなってきた感じです。
さらに1分経過して、開始から3分後、二酸化炭素の濃度が2000ppmを越えました。
濃度計のランプ表示が赤に変わりました。このあと、どんなふうに変化していくのでしょう?
さらに1分たち、開始から4分で濃度計は2635ppmに。
そして、開始から4分30秒で濃度計が3000ppmを越えた次の瞬間、一酸化炭素の警報機が突然アラーム音を発しはじめました。
一酸化炭素濃度計の表示は350ppmを示しています。
一酸化炭素の警報機は、ボタンをおしてリセットしようとしても、警報音が鳴りやまず、ずっとアラームが鳴った状態です。考えてみれば、リセットボタンを押してアラームが消えてしまったら、警報機の役目を果たしませんからね。
これは一酸化炭素濃度を下げてやるか、無理やり電池を取り出すしか、アラームを止める方法はなさそうです。
ここまで窓を開けずに息苦しさを我慢して実験してきましたが、さすがにこのままでは自分自身も危ないので、すぐに実験を中止してスライドドアを開け、車外に出て深呼吸しました。
一酸化炭素濃度計も車外に出したと同時に鳴りやみました。
新鮮な空気を吸うことができて、ホッと一安心です。
換気がない状態では5分たたずに警報が鳴ってしまい、お湯を沸かすまでに至りませんでした。このままお湯が沸くまで換気なしで続けていたら、一酸化炭素中毒を起こしていたかもしれません。
この実験から、車内を締め切って火をたいた場合、車内に酸素がある最初のうちはまず二酸化炭素の濃度が上がっていき、二酸化炭素の濃度が2500ppmを越えるくらいから車内の酸素量が一気に減って、不完全燃焼で一酸化炭素が発生してくるということが分かりました。
二酸化炭素濃度が2500ppmに達するまで約4分。今回はコンロの火は中火でしたが、火力の強さによっても変わってくると思いますので、窓を閉め切った状態での車内調理ではわずか3~4分で酸欠になる、というのが今回の実験の考察です。
スライドドアの窓を2カ所開けた状態
換気なしでの実験に続いて、スライドドアの窓を左右とも開けた状態で同じようにお湯を沸かしてみました。
1分後
2分後
5分後
スライドドアの小窓を左右2か所開けた状態で火をつけてみたところ、最初の1分で1000ppm前後まで上がりましたが、その後はお湯が沸騰するまでずっと1000ppm前後で推移して、それ以上二酸化炭素が上がることはありませんでした。
もちろん、一酸化炭素の濃度計も反応しません。
スライドドアの小窓を2つ開け、ミニ換気扇を回した状態
次に、小窓を2か所開けた上で、ミニ扇風機を回して空気を循環させた状態で同じように実験してみました。
1分後
2分後
小窓を開けた上でさらにミニ扇風機を回した状態で火をつけると、二酸化炭素の濃度は600~800ppmの間で推移し、それ以上濃度が上がることはありませんでした。
600~800ppmといえば、オフィスの中で複数の人が働いているような状況での二酸化炭素濃度がそれくらいなので、それほど息苦しいと感じることもなく、危険というレベルではないと思います。
ちなみに、この日の室温は実験前の気温が28℃、そして実験で車内で火をたいた後の気温が32℃と、プラス4℃ほどの上昇でした。これがもし真夏の車内だったら、火をたくことで車内温度は40℃をこえることでしょう。
今回は実験のため、窓を閉め切った状態での濃度を測りましたが、これは一歩間違えるとそれこそ一酸化炭素中毒の危険と隣り合わせです。
一酸化炭素濃度計をそばに置いて、万一の際は警報が鳴るようにセットして実験を行いましたが、よい子の皆さんは決して真似をしないように気をつけてください(笑)
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