ハイエース4人家族で車中泊〜ナローボディでも快適なバンライフを〜

ビルダーのカスタムはとても素敵だけれど、紹介写真には荷物が載っていない。実際の車中泊は荷物との闘い。狭苦しい車内をいかに効率的に収納を工夫するか、4人家族でも楽しく快適なバンライフが送れるブログをお届けしています。

車中泊と道の駅の切っても切れない関係


ナローボディのハイエースをいろいろ工夫して、家族4人で車中泊やバンライフを楽しんでいます。


本日は車中泊と道の駅のつながりについて少し考えてみたいと思います。


もとは鉄道用語だった「車中泊」

今やすっかりくるま旅の一ジャンルとして定着した車中泊ですが、元々は鉄道用語で「旅をする列車の中で一晩を過ごすこと」を「車中泊」と呼んでいたそうです。
昔は夜行列車や寝台列車がごく当たり前のように走っていました。鉄道を使って旅をする人が今よりずっと多かった時代です。経費的にも時間的にもそれがもっとも効率が良かったということもあると思います。夜、寝ている間に目的地まで移動できる夜行列車の旅というのは、ある意味旅のエッセンスをぎゅっと詰め込んだ究極のロマンあふれる旅のスタイルだった気がします。今はもう夜行列車はほとんど走っていないので、夜行列車の旅はしたくてもできなくなってしまいました。いずれ夜行列車という言葉すら死語になってしまうかもしれませんね。


中学生のころ、学校の窓口で学割をもらって、夜行列車のキップを買い、友人たちと冬の信州へ夜行列車の旅をした記憶があります。「ちくま○○号」とか「あさま○○号」とかいう列車名でした。寝台列車は高くてとても乗れなかった私たちは、座席が直角の、とても横揺れがひどい夜行列車に揺られ、仲間たちとトランプをしたりおしゃべりをしながら雪深い信州を目指しました。途中、乗り継ぎの大垣駅や名古屋駅で立ち食いそばを食べたり、長野駅で途中下車して善光寺まで商店街を歩いたり、ほとんど徹夜のまま夜が明けるにつれて次第に雪が深くなっていく車窓の景色に感動した思い出があります。夜更かししても誰にも何も言われない夜行列車の自由な旅は、行きと帰りで自分が少しだけ大人になったような気がしました。

列車で一晩過ごすのを「車中泊」と呼ぶなんてその時は知りもしませんでしたが、それから何十年も経った今、ハイエースで車中泊の旅をしているのがなんだか不思議な気もします。


鉄道旅の車中泊という言葉が、車に寝泊まりしながら旅をする車の車中泊にも使われるようになったのは1980年代頃のことで、アメリカのヒッピーやサーファーたちがバンに寝泊まりしながら放浪するスタイルが日本でも真似られるようになったのが始まりと言われています。最初はごく一部の人たちだけだった車中泊のスタイルが、やがて一般市民にも広がりを見せるようになっていったのには、実は「道の駅」の歴史と深い関係があるようです。

1991年道の駅誕生

政府主導の「ふるさと創生事業」、いわゆる1億円を各市町村に交付するという地方創生の取り組みが1988~1989年(昭和63年~平成元年)にかけて行われました。
各市町村は配られた1億円を元手にいろいろな使い道を考えましたが、中でも「道の駅」を作って地域活性化をはかろうという計画が、地方行政と地元民の期待を一身に背負って各地で起こりました。

当時、一般道には高速道路のサービスエリアにあたるような無料の休憩場所がまだなくて、誰でも24時間自由に利用できる休憩施設が求められていたタイミングだったということと、また、地域の活性化をはかりたいという地元の人々のニーズがまさにうまくマッチした取り組みでした。
まず山口、岐阜、栃木の3県で1991年に実験的に道の駅を開始する試みがあり、それから2年後の1993年(平成5年)のゴールデンウィークに、いよいよ全国各地で道の駅がスタートしました。道の駅制度が始まった平成5年段階で全国の道の駅登録数は103ヶ所でしたが、1999年(平成11年)には500ヶ所、2013年(平成25年)に1000ヶ所を超え、2023年2月時点では実に1204ヶ所に増えています。


ドライブインは昔から各地にありましたが、特定企業が経営する商業施設のため、地元民が物産を持ち寄ったり交流できるコミュニティの場にはなりにくいという性質がありました。その点「道の駅」はドライバーにとっての無料休憩場所であると同時に、地域の人々がその地域の文化や名所、特産物などを情報発信して地域の活性化をはかるのにはピッタリの施設です。そんな風に地方の各市町村、地元住民、そしてそこを通るドライバー達、それぞれのニーズが相まって誕生したまさに三位一体の性質を持つ施設、それが道の駅という取り組みだったのです。

当時はちょうどバブルが過ぎて中央集権から地方分権へと政治のあり方が地方に移っていく過程でもあり、各地方自治体がおらが町おらが村の良さをアピールしていくための象徴的なシンボルとして道の駅が作られた側面もあったのではないかと思います。

また、もう一つの背景としてその当時爆発的に人気があったスキーと、新たに登場してきたスノーボードの存在があります。見た目も華やかで自由さが売りのスノボは若者の間でまたたく間に人気が広がり、どこのスキー場もスキーヤーとスノーボーダーでごった返していました。そんな中、都会から雪山に繰り出す若者たちの中にはホテルに泊まらず麓の道の駅で車中泊しながらスノボを楽しむスタイルが徐々に広まっていったのです。


道の駅と車中泊の葛藤

さて、道の駅と車中泊者の間には長年のテーマというか、目には見えない葛藤が横たわっています。
それは「道の駅を運営する人々にとって車中泊者は客なのか?」という問題です。
地元民にとって道の駅は地域の活性化のための武器です。つまり道の駅を地元に置くことでそこを訪れる人が増え、お金が落ちて地域が潤うと同時に、その地のことを人々に知ってもらう強力なPRになるわけです。しかし、短期的・一元的に見ると、車中泊する人たちは道の駅を無料で使える宿泊場所として駐車スペースを長時間占拠し、でも地元にはあまりお金を落とさず、トイレや洗面所だけ利用して去っていく。場合によってはゴミの置き去りや、コンセントからの盗電などのマナー違反も後を絶たない。
そうした一部の心無い人々の蛮行のせいで、道の駅側からみた車中泊者はあまり好ましくない、どころか完全に「招かれざる客」になってしまいました。
このことは、ここ2~3年の車中泊の広がりに伴うものというよりも、実はずっと以前、車中泊が始まった当時からすでに起こっていた問題なのではないかと思います。


マナーの悪い人は今に始まったことではなく昔からいて、当時から車中泊に対する冷たい目は存在していました。
ただ、最初のうちは「お客さんだから、まあある程度仕方ない」と道の駅側が半分目をつぶっていたのが、蛮行が後を絶たずついには堪忍袋の緒が切れてしまった道の駅が「車中泊禁止」を掲げるようになったというのが実際のところではないかと思います。

いつ訪れても満車に近いほど人気の道の駅からすれば、車中泊禁止を掲げたところで集客に困ることはありません。一般ドライバーにとっても車中泊禁止によって駐車スペースの占拠が減るわけですから、車中泊者に同情する人はほとんどいないでしょう。マナーを守って普通に車中泊する者にとっては大変肩身の狭い世の中になりつつあるのです。

道の駅と車中泊の今後

とはいえ、長期的に考えた時、ずっとこのまま車中泊禁止が広がっていくか?というと、案外そうでもないような気がします。
というのも、全国に1200もの道の駅が乱立するようになると、これからは道の駅にとってもある意味試練というか差別化の時代が必ずやってくるだろうと思うからです。


旅先で訪れてみて感じるのは、「道の駅にも本当いろいろありますよね~」ということです。
肩身の狭い立場の車中泊者が上からモノをいうような態度はよろしくないとは思うのですが、「ここはいいなあ、頑張っているなあ」と感心する道の駅もあれば、「これは本当に道の駅とよぶのか?」と心配になるような寂しげな道の駅、あるいはまた、「これならまだドライブインの方がよっぽどマシだよなぁ」とため息が出るようなガメツサ丸出しの道の駅など、本当にピンからキリまであるのです。


皆さんは道の駅に何を求めるでしょうか?

「トイレは綺麗か?」とか「駐車場は平坦か?」など、つい車中泊に関するアメニティだけで道の駅を評価しがちですが、道の駅のこれからを考える時、人々から愛される個性輝く道の駅に共通しているのは、そこに集う人々の活気とか、そこに垣間見える思いとか、ハード面だけではなくてソフト面で頑張っているのがちゃんと伝わってくるような道の駅たちなのです。そういう道の駅には何か他と違う魅力を感じます。人々が頑張って知恵と工夫を出し合って運営している道の駅は、たとえ設備がぼろくてショボくても、またそこに行きたくなるのです。「頑張っている」というのは、がむしゃらに汗をかいているという意味よりも、自分たちの道の駅、自分たちの地元の特徴や強みをきちんと分析して、誰に対してどんなメッセージを発信すれば自分たちの魅力がうまく伝わるか?ちゃんとマーケティングができているということだと思います。
そんな、他とは一味違う個性光る道の駅がこれからは生き残っていくんだと思います。

そして、私たち車中泊者にできることといえば、他の誰よりも沢山の道の駅を訪れて道の駅の酸いも甘いもかぎ分けてきた経験を活かして、人々から愛される道の駅とは何ぞやということを世の中に発信し、地道に頑張っている魅力あふれる道の駅を応援していくことが大切な役割ではないかと思う訳です。



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