ハイエース4人家族で車中泊〜ナローボディでも快適なバンライフを〜

ビルダーのカスタムはとても素敵だけれど、紹介写真には荷物が載っていない。実際の車中泊は荷物との闘い。狭苦しい車内をいかに効率的に収納を工夫するか、4人家族でも楽しく快適なバンライフが送れるブログをお届けしています。

車中泊仕様は災害時の助けになるか?


ナローボディのハイエースをいろいろ工夫して、家族4人で車中泊やバンライフを楽しんでいます。


2024年元旦に石川県を襲った地震と津波。その被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。
氷点下の冷え込みの中、被災者の方、未だ安否が分からない方、そしてその捜索活動や災害支援に携わっておられる方々の努力にも本当に頭が下がります。

災害時ライフラインの状況

何事もなかったように正月を過ごし、またいつものように始まった一年を平穏に過ごしている私たちです。災害に苦しむ人の力に何一つなれていないことに心が痛みます。


能登半島では道路が寸断されて近づくことすら容易にできない状態で、すでに半月以上経過しました。今も安否不明者の捜索が続けられています。


災害は決して他人事ではありません。今後40年間で90%の確率で発生するといわれている南海トラフ地震。大地震はそれこそいつ起こってもおかしくない状況なのです。でも、どこか他人事のような日常がそこにはあります。仕事で災害対策(BCP)に携わってきた経験から感じるのは、「起こったら起こった時」「どこまで備えてもいざという時には何の役にも立たない」「自分たちだけではどうしようもない」といった、半ばあきらめのような考え方が多くの人の心の中にあり、「分かってはいるがなかなか対策が進まない」というのが現実のようです。


テレビに映る映像を見て「怖いね~。」とは感じても、自分たちの身にそれが襲ってきたらどうしよう?とはなかなかイメージできないのが現実です。では、実際に大地震が起こったら、私たちの生活はどうなるのでしょう?
これまで通りの日常が送れなくなることは分かっても、一体どれくらいの期間、何が困るか?についてはなかなかイメージしづらいと思います。京都市の防災計画によると、震度6強の地震が起こった場合の各ライフラインの復旧にかかる日数はおよそ次の通りです。

電気:1週間〜
水道:2〜3ヶ月
ガス:2ヶ月程度
電話通信:1週間〜

以下に京都市地域防災計画の「震災対策編」のリンクを貼っておきます。
bousai-city-kyoto.meclib.jp

この中には地震が起こった場合の被害想定や復旧にかかるおよその目安などが詳しく書かれています。
一例として京都市の防災計画を載せましたが、こういった防災計画は各都道府県ごとに出されていますので、お住いの地域の防災計画やハザードマップ(危険個所を地図上に図示したもの)をぜひダウンロードして、一度ご覧になられることをお勧めします。


能登半島地震でもそうですが、一度大きな地震が発生するとしばらくの期間、余震がくりかえし起こります。余震といっても場合によっては最初の地震より規模が大きい場合があり、1度目より2度目、3度目の地震でさらに大きな被害が出ることもあります。それを勘案すると、ライフラインの復旧には相当の時間を要します。

一番復旧が早いのが電気と通信網ですが、それでも1週間以上はかかります。
水道やガスについては地下に埋設しているので復旧まで3か月以上かかると思います。もし家にプロパンガスがあれば、都市ガスが遮断されたときに煮炊きができるので、企業の災害対策ではプロパンガス設備を万一のために備えているところもあります。ただし、プロパンガスと都市ガスではコンロの仕様がことなるので、もしプロパンガスを備える場合には、コンロもプロパンガス用のものを揃えておく必要があります。


通信に関しては、東日本大震災の時、唯一「LINE」が通じたようで、「LINEは災害時に強い」というのが定説になっています。それでもたくさんの人が一気に通信を試みる地震直後の30分はデータが集中してつながりにくくなってしまいますから、しばらくの間は連絡が取れなくなると想定しておいた方がいいでしょう。仮にポータブル電源があったとしても実質的に通信は途絶えてしまって使えません。


それに加えて、あちこちで道路が寸断され、また道路は緊急車両優先のため各地で通行規制が敷かれるので、最初の1~2週間は車での移動はできないと考えておいたほうがいいと思います。仮に車が使える道路状況だったとしても、ガソリンスタンドが給油制限を行うため、まずガソリンが手に入らなくなってしまいます。タンクローリーが市内に入ってこられないために、ガソリンスタンドの地下タンクの中にある燃料がすべてなのです。その燃料は地域の医療機関や緊急車両への給油がまず優先され、一般車への給油はどうしても後回しになってしまいます。

車中泊仕様への関心が高まっている

さて、能登半島地震を契機に各地のキャンピングカー屋さんや車中泊仕様の車への関心がにわかに高まってきているようです。車に生活の機能があるキャンピングカーや車中泊車ならいざという時に安心という気持ちはよく分かります。

たしかに、車中泊装備が車に積んであれば、いざという時にある程度は安心です。でも、それはあくまで「ある程度の安心」であって、いざという時、車中泊の装備があれば全て大丈夫というわけではないのです。
具体的には、災害発生からの72時間(丸3日程度)をしのぐシェルター的な役割として考えるなら、車中泊の装備は十分役に立つと私は考えます。

というのも、先ほど見てきた地域の防災計画からも分かるように、被災地に救援部隊や物資が入りだすのは早くても3日目以降です。
しかも、災害現場では「トリアージ」といって人命を第一に優先度の高い人から救援がなされるため、軽いけが人や負傷のない被災者に援助の手が差し伸べられるのはさらに後になってしまいます。


各地域には「広域避難所」と「一時避難所」という避難場所が設けられていますが、支援物資が配られるのは「広域避難所」です。近所の公園などの「一時避難所」には物資は届きません。では「広域避難所」ってどんな感じかというと、たとえば京都市の例では左京区の「宝が池公園」が広域避難所に指定されていますが、宝が池公園の想定避難民は「30000人」です。30000人の人が一度に公園に避難してきて援助物資を求めたとして、いったい自分の手に入るまでに何時間並ばなければいけないことでしょう?それに自宅から広域避難所まで片道何十分も歩いてきて、水や食料を一体どうやって持って帰るというのでしょう?


でも、それが現実なのです。大都市になればなるほど、そうした状況が起こってしまいます。給水車が一時避難所まで回って来れるようになるのはかなり経ってからだと思います。それまでの間は、自分たちの手で何とか乗り切るしかないのです。車中泊装備はその時に役立ちます。

いざというときのための装備

トイレ問題

何と何があれば安心か?ということについては、個人によって感じ方も違うので一概には言えませんが、軍隊が戦地で野営するとき真っ先に行うのが「トイレの穴を掘ること」なんだそうです。し尿処理は感染症に直結する問題であり、被災地でもまず最優先されるのがトイレ問題です。
地震による断水でトイレが流せないだけでなく、床下を通る下水管に亀裂が入って、ヘタに水を流すと階下に下水が降り注ぎます。地震が起こったら、下水管の確認ができるまでトイレを流してはいけないというのが鉄則です。


でもトイレをずっと我慢することはできません。災害時のトイレ、これが災害対策の一番目の課題です。


車中泊のトイレに関して今までいろいろ試した結果、うちでは「尿取りパット」が一番使いやすく、いつも車に常備しています。使ったあとは普通ごみとして出すことができるので、処理にも困りません。
これを災害時にも活用することができます。
実際、コロナ感染症の時には医療機関でもトイレを流すとウイルスが拡散するので、尿とりパットを利用していたところが多かったようです。
尿取りパットは1袋に50枚くらい入っていて、1袋あれば家族4人で3日くらいは使えると思います。腐るものではないので多めにストックしておいても無駄にはならないでしょう。

車中泊にも災害にも、トイレに関しては尿とりパットが一番です。

電気

災害時、ポータブル電源(あるいはリチウムバッテリー等)があると何かと便利です。
問題は充電です。災害直後の停電から電力復旧まで1週間ほどはかかるので、その間ポータブル電源への充電をどうするか?
小型発電機を持っておくのが一番ですが、車中泊では発電機はあまり使い勝手がよくないので現実的ではありません。
走行充電システムは車のエンジンを回す必要があり燃料を消費します。試算ではアイドリング1時間につき燃料を約1.5リットルほど消費しますから貴重な燃料を充電のためだけに消費するのはちょっともったいない気がします。
そう考えると、やはりソーラーパネルを設置しておくのが一番いいように思います。車中泊の装備としてソーラーパネルと走行充電の2段構えにしておけば、災害時の対策としても安心です。100Wのソーラーパネル1枚で晴天なら最大70〜80Whくらい発電してくれますから、1日に600〜700Whは稼げる計算です。



車載冷蔵庫

車載冷蔵庫があると、停電で家の冷蔵庫が使えなくなった時に、冷蔵庫の中のものを車載冷蔵庫に移して保管できます。容量的には限られてしまいますが、冷蔵庫があることで気持ちのゆとりが生まれます。
ただし、車載冷蔵庫は24時間あたり700Wほど電力を消費しますから、ポータブル電源の容量や充電キャパと照らし合わせて考える必要があります。持続的に使用可能なキャパの目安は、100Ah(1200Wh程度)のバッテリーと100Wソーラーパネル2枚、これが最低ラインという感じでしょうか?バッテリーの容量は大きいに越したことはありませんが、予算の都合もあるので100Ah(1200Wh程度)のリチウムイオンバッテリーがあるとかなり安心です。最近はリチウムイオンバッテリーが安くなってきていますから、予算が許すなら200Ahくらいのリチウムイオンバッテリーがあるとさらに安心ですね。

テレビ

車中泊用に車載テレビを設置しておられる方は多くはないかもしれませんが、うちはハイエースに車載テレビを設置していて、車中泊先でテレビが見られることの恩恵をものすごく感じます。特に長期の車中泊になると、テレビはとても大切な情報源になることを北海道の長期キャラバンで実感しました。
この車載テレビ、実は災害時にものすごく役立つのです。というのも災害が起こったら家のテレビは全く見ることができなくなるからです。地デジは受信電波をブースターで増幅してテレビへ届けているので、停電するとブースターがダメなのです。
能登半島地震の様子を私たちはテレビで見ることができていますが、被災地の多くはテレビが映らないので、情報を得ることが大変困難です。
そんな時、車に車載テレビがあればそこから情報を得ることができます。
もちろん、エンジンをかければカーナビのテレビを視聴することはできますが、ずっとエンジンをかけ続けておくことはできませんので、やはり車載テレビのメリットはかなり大きいと思います。

車載テレビという場合、テレビそのものより地デジチューナーとフィルムアンテナの設置がポイントになります。
以前車載テレビのことを記事にしましたので、そちらも参考にしていただければと思います。

sleepysheep-zzz.hatenablog.com


今回は、車中泊の装備がいざという時にどれくらい役に立つか?という視点で考えてみました。大地震発生後は復旧まで相当な時間を要するため、車中泊の装備だけでは限界があります。水や食料などに関しては日ごろから万一に備えて家にストックしておき、定期的に消費して入れ替えていくことを習慣化しておきましょう。


今回の記事では書きませんでしたが、被災地で一番心配されるのは感染症の拡大です。被災地では様々な物資が不足しますが、特に医薬品や衛生材料が足りなくなります。普段飲んでいる薬、風邪薬、胃腸薬、痛みどめなどの薬のストックや、消毒液やガーゼなどの簡単な応急セットは各自でまかなえるように用意しておくのが賢明です。


自分たちのことは自分たちで守る。
それくらいの意識を持って備えておいてちょうどいいのではないでしょうか?



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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